コミュニティ成長講座

参加者が「他人事」にしないコミュニティ運営 主体的な関わりを生み出す方法

Tags: コミュニティ運営, 活性化, エンゲージメント, メンバーシップ, コミュニケーション

コミュニティが「他人事」になっていませんか?

一生懸命運営しているにも関わらず、コミュニティ活動が一部の熱心なメンバーに偏ってしまったり、多くのメンバーがROM(Read Only Member)になってしまったりすることに、課題を感じている運営者は少なくないかもしれません。活気あるコミュニティを目指しているのに、どうすればメンバーがもっと主体的に関わってくれるのだろうか、と感じている方もいるのではないでしょうか。

メンバーがコミュニティを「他人事」として捉えてしまう状態は、コミュニティの成長を妨げる大きな要因となります。この状態を乗り越え、メンバーが「自分事」として積極的に関わるようになるためには、運営者側からの意図的な仕掛けと、メンバーへの丁寧な声かけが重要になります。

この記事では、なぜメンバーが「他人事」になってしまうのかを掘り下げ、コミュニティ全体の活動を活性化させるための具体的な方法や、メンバーの主体的な関わりを引き出すためのヒントをご紹介します。

なぜメンバーは「他人事」になってしまうのか

メンバーがコミュニティ活動に受け身になってしまう背景には、いくつかの理由が考えられます。

これらの要因が複合的に絡み合い、多くのメンバーが「見るだけ」「聞くだけ」の状態に陥ってしまうのです。

「自分事」を引き出すための基本的な考え方

メンバーがコミュニティを「他人事」から「自分事」として捉え直すためには、以下の点を意識した運営が重要です。

  1. オーナーシップ(当事者意識)の醸成: コミュニティは運営者だけのものではなく、「参加者一人ひとりのもの」であるという意識を共有することが重要です。自分の意見や行動がコミュニティに影響を与える、と感じられるように促します。
  2. 貢献機会の提供: メンバーが持つ知識、経験、スキルを活かせる機会を意図的に作ります。小さなことからでも貢献できる場があることで、コミュニティへの愛着が深まります。
  3. 双方向性の促進: 運営者からの一方的な情報発信だけでなく、メンバー間の自由な対話や、メンバーから運営者へのフィードバックが活発に行われる環境を作ります。

これらの考え方を基盤に、具体的な仕掛けや声かけを行っていきます。

実践:メンバーの主体的な関わりを生み出す具体的な仕掛けと声かけ

特別な技術や複雑な仕組みは必要ありません。日々のコミュニケーションや簡単な企画を通じて、メンバーの関わり方を変化させることが可能です。

1. 共通の目的・目標を常に共有する

コミュニティが何を目指しているのか、メンバーはなぜここに集まっているのかを、定期的に共有し、再確認する機会を設けます。

2. 小さな貢献機会を作る・お願いする

メンバーが無理なく参加できる、貢献の機会を提供します。

3. 質問や意見を求め、丁寧に反応する

メンバーからの質問や意見に対して、運営者が積極的に、かつ肯定的に反応することで、「発言して大丈夫だ」という安心感を与えます。

4. メンバー主導の企画や活動を後押しする

メンバーの中から「こんなことをやってみたい」という声が上がった際に、それを実現するためのサポートを行います。

5. メンバーの活動や貢献を称賛し、可視化する

積極的に関わっているメンバーの活動を取り上げ、感謝や称賛の意を伝えることで、他のメンバーへの良い刺激とします。

実践上のポイントと事例

これらの取り組みを進める上で、以下の点を意識するとより効果的です。

事例:趣味のオンラインコミュニティの場合

ある写真愛好家のオンラインコミュニティでは、以前は運営者や一部の熱心なメンバーが写真を投稿するだけになりがちでした。そこで運営者は、以下の取り組みを始めました。

  1. 「今月のテーマ」投稿企画: 毎月異なるテーマ(例:「私の街の風景」「思い出の一枚」)を設定し、メンバーがテーマに沿った写真を気軽に投稿できるスレッドを立てました。
  2. 「教えて!私の写真」コーナー: 自分の写真についてアドバイスが欲しいメンバーが写真を投稿し、他のメンバーがコメントで具体的なフィードバックをする場を設けました。
  3. メンバー主導のミニ写真展: 「自分の好きなテーマで写真を集めて紹介したい」というメンバーの提案に対し、運営者がオンラインアルバム作成ツール(Googleフォトなど)の使い方をサポートし、小さな写真展企画を実現しました。

これらの取り組みにより、「見るだけ」だったメンバーがテーマに沿って写真を探したり、他のメンバーの写真にコメントしたりするようになり、コミュニティ全体の交流が活性化しました。特に「教えて!私の写真」コーナーでは、初心者メンバーがアドバイスを得られるだけでなく、経験豊富なメンバーが自分の知識を共有する機会となり、双方にとって「自分事」として関わるきっかけとなりました。

まとめ

コミュニティの活性化は、運営者だけが頑張るのではなく、いかにメンバー一人ひとりが「自分事」としてコミュニティに関われる環境を作るかにかかっています。今回ご紹介したような、共通目的の共有、貢献機会の創出、丁寧なコミュニケーション、メンバー主導のサポート、活動の可視化といった簡単な仕掛けや声かけは、特別な技術がなくても今すぐ始めることが可能です。

まずは、あなたのコミュニティの現状を振り返り、メンバーがなぜ受け身になっているのかを考えてみてください。そして、小さな一歩からでも良いので、「他人事」を「自分事」に変えるための働きかけを始めてみましょう。きっと、あなたのコミュニティは、より活気あふれる「私たち」の場所へと成長していくはずです。