コミュニティ成長講座

静かなコミュニティを動かす メンバーの「得意」や「関心」を活動につなげる具体策

Tags: コミュニティ運営, 活性化, メンバーシップ, 主体性, エンゲージメント

コミュニティ運営に携わる中で、このようなお悩みはありませんでしょうか。

「参加者数はそれなりにいるのに、いつも投稿したり発言したりするのは一部のメンバーだけだ」 「多くのメンバーは静観していて、コミュニティ全体として盛り上がりに欠けるように感じる」

これは、多くのコミュニティ運営者が直面する共通の課題です。メンバーが受け身になってしまい、一部の活発なメンバーか運営者しか動いていない状況では、コミュニティの継続的な成長や活性化は難しくなります。

しかし、あなたのコミュニティにも、まだ眠っている「得意」や「関心」を持つメンバーは必ずいます。彼らが持つスキルや熱意を引き出し、コミュニティ活動に自然な形でつなげることができれば、コミュニティ全体の主体性が高まり、活気を取り戻すことが可能です。

この記事では、技術的なスキルに自信がない運営者の方でも実践できる、メンバーの「得意」や「関心」を見つけ出し、コミュニティの活性化につなげる具体的なステップとヒントをご紹介します。

なぜ、あなたのコミュニティでは一部のメンバーしか活動しないのか

メンバーが活動しない背景には、いくつかの理由が考えられます。

これらの要因が複合的に絡み合い、多くのメンバーが「サイレントメンバー」(閲覧はしているが発言や投稿はしないメンバー)になってしまう傾向があります。運営者としては、これらの背景を理解した上で、メンバーが「自分も参加しても大丈夫なんだ」「自分の得意なことで貢献できるんだ」と感じられるような働きかけを行うことが重要です。

ステップ1: メンバーの「得意」や「関心」を知るための働きかけ

メンバーの隠れた才能や情熱を引き出す第一歩は、運営者が意図的に彼らの情報を「知る」機会を作ることです。

重要なのは、これらの働きかけを通じて得た情報を、運営者側でしっかりと記録・把握しておくことです。

ステップ2: 見つけ出した「得意」や「関心」を活動につなげる具体的なアプローチ

メンバーの「得意」や「関心」が分かったら、次はそれを具体的なコミュニティ活動につなげる方法を考えます。ペルソナの技術スキルレベルを考慮し、既存ツールで実現可能な、無理のない範囲でのアプローチを提案します。

ステップ3: メンバーの活動を継続させるための運営者のサポート

一度活動に関わってくれたメンバーが、「またやってみたい」と思えるような環境を作ることも重要です。

事例に学ぶ: メンバーの得意を活かしてコミュニティを活性化させた例

ある地域の歴史をテーマにしたオンラインコミュニティでの事例をご紹介します。このコミュニティは当初、運営者による歴史コラムの投稿が中心で、メンバーの発言は限定的でした。運営者は、一部のメンバーが過去の古地図や古い写真に強い関心を持っていることに気づきました。

そこで運営者は、古地図に関心があるAさんに「もしよかったら、この地域の古い地図の読み解き方について、知っていることを簡単に投稿でシェアしてもらえませんか?」と依頼しました。Aさんは快諾し、数回に分けて地図の見方を解説する投稿を始めました。すると、他のメンバーから「うちにも古い地図があるんだけど見てほしい」「この地図のこの場所は何?」といった質問が活発に寄せられるようになり、Aさんはそれに応える形でさらに詳しい情報や解説を投稿するようになりました。

また、古い写真に詳しいBさんには、「コミュニティのアルバム機能を使って、皆さんの持っている昔の写真を投稿し合う企画をやりませんか?投稿の呼びかけと、写真にまつわる簡単なエピソードの紹介をお願いできますか?」と提案しました。Bさんが企画の投稿をすると、次々とメンバーが自身の持つ古い写真を共有し始め、写真に写る場所や人物について思い出を語り合うなど、活発な交流が生まれました。

この事例のように、メンバーの持つ「得意」や「関心」は、必ずしも専門家レベルのものである必要はありません。少し詳しい、少し好きな、といったレベルでも、それが他のメンバーにとって価値のある情報や活動につながることは多々あります。運営者がそれを見つけ出し、小さなきっかけを提供することで、メンバーは主体的に関わる一歩を踏み出しやすくなります。

まとめ: 小さな一歩がコミュニティを大きく動かす

コミュニティの活性化に悩む時、すべてを運営者一人で背負い込む必要はありません。コミュニティに集まっている「人」こそが最大の資産です。メンバー一人ひとりが持つ「得意」や「関心」に目を向け、それをコミュニティ活動に活かす機会を意図的に作り出すことで、静的だったコミュニティに活気を取り戻し、メンバー全体の主体性を高めることができます。

まずは、あなたのコミュニティメンバーの中に、どんな隠れた才能や情熱があるのかを知ることから始めてみましょう。そして、見つけ出したそれらを、スモールステップでコミュニティ活動につなげる提案をしてみてください。

小さな一歩が、あなたのコミュニティを大きく動かすきっかけとなるはずです。